Research / 研究テーマ

CAMUI式ハイブリッドロケット

CAMUI Type Hybrid Rocket

CAMUIとはCascaded Multistage Impinging-jet(縦列多段衝突噴流)の頭文字を取ったものです。また、北海道に古くから伝わる神威(カムイ)という神と名前を掛けています。

CAMUI式における燃料は、2つのポートが空いた、軸方向長さが短い燃料ブロックになっています。この燃料ブロックを図燃焼室内に縦向きで、互いに 90°ずらして複数個配置します。燃焼室上流から供給された燃焼ガスはポートを通過し、次の燃料ブロックの表面に衝突します。このとき、衝突面で衝突噴流熱伝達を伴う燃焼が生じます。衝突噴流熱伝達とは、噴流を壁面に衝突させると、そのよどみ点付近で高い熱伝達が得られるという現象です。これを利用することで、燃料表面が十分に加熱され、ガス化が促進され、大きな燃料後退速度を得ることができます。また、燃焼ガス中の未燃ガス成分が衝突噴流の乱流成分によって撹拌され、よどみ点付近で酸化剤と良く反応するので、高い燃焼効率を得ることができます。以上のような仕組みにより、CAMUI式では、上記の従来のハイブリッドロケットの欠点の内、(1)と(2)を克服することができ、燃焼効率の向上および高推力化に成功しました。

camui2a camui2b
従来型ハイブリッドロケットの燃料


これまでに小型から大型まで、さまざまな実証試験を行い、ロケットとしての利用に必要な基礎性能を取得してきました。現在は、人工衛星に搭載するキックモーターとして利用することや、酸化剤に安全で入手しやすい過酸化水素を用いて、より安全、低価格で高性能な推進機を作るための研究を行っています。