Research / 研究テーマ

端面燃焼式ハイブリッドロケット

End-Burning Type Hybrid Rocket

端面燃焼式ハイブリッドロケットの燃料は、たくさんの微小ポートが密に配置された形状となっています。図1の場合は、直径0.3 mmのポートが433個配置されています。以前まで、このような緻密な構造を持つ燃料を作ることはできず、研究が進められずにいました。しかし、最近の3Dプリンターの発達により、燃料の製作が可能となり、以来、世界に先駆けて端面燃焼式ハイブリッドロケットの実用化に向けた研究に取り組んでいます。

Fuel of AIEB
端面燃焼式ハイブリッドロケットの燃料


酸化剤は1つ1つのポート内に流れ、各ポート出口端面で火炎を形成します。このとき、火炎はポート径を広げながら燃焼していくので、やがて隣接するポートの火炎と繋がります。このようにして、全てのポートの火炎が繋がり、1つの火炎として燃焼していくという燃焼方式が端面燃焼式ハイブリッドロケットの特徴です。この燃焼方式では、酸化剤と燃料の接触面積を広くとることができるため、燃焼効率の向上が期待でき、火炎は燃料表面に非常に近いところに形成されるため、燃料表面が十分に加熱され、燃料後退速度の向上も期待できます、さらに、燃焼面積が変化することなく燃焼が進むので、燃焼中に当量比(O/F)の変化がなく、比推力の損失がありません。従って、上記に挙げた従来のハイブリッドロケットにおける3つの欠点全てを解決することができます。それどころか、その燃料後退速度はとても大きく、固体ロケットを凌ぐ推力を得られます。

AIEB model
端面燃焼式ハイブリッドロケットの概念図


端面燃焼式ハイブリッドロケットの構想は1997年に考案されていましたが、当時は燃料の製作が不可能だったために、研究を行うことができず、2014年になって初めて燃焼実験に成功しました。そのため、端面燃焼のメカニズムについて分かっていないことがたくさんあります。そこで、私たちは、燃焼メカニズムを解明するとともに、端面燃焼式ハイブリッドロケットを打ち上げロケットや、人工衛星に搭載するキックモーターとして利用できるように研究を進めています。