日本機械学会北海道支部シニア会主催

「科学と技術に関する公開講座」

第1回「超音速の世界」の報告

 

                                              シニア会会員 杉山 弘

 

本公開講座は、平成271121日(土)、14001530、室蘭工業大学で開催されました。参加者は、大学学部生・大学院生・一般社会人・大学教員等で、30名でした。
以下に、北海道支部シニア会として初めて企画・開催した第1回公開講座「超音速の世界」の実施状況等について報告します。

 

1.公開講座の概要

 本公開講座の正式な名称(題名)は「超音速の世界〜超音速流れとは、どんなことが起こる?」で、その内容は、多様な聴講者を想定し、3部構成としました。
第1部では、高校生と大学1〜2年生および一般社会人の方を想定し、超音速流れと衝撃波の科学の入門(基礎)について解説することにしました。
第2部では、流体力学の基礎を既に学んだ大学院生以上の方を想定し、室蘭工大での超音速流れの研究のはじまり・歴史等について話し、
第3部では、室蘭工大と東北大学における最新の研究について紹介することにしました。

 第1部では、具体的には、音速、音波(微小じょう乱)の伝ぱの様相、超音速流れの面白い性質、超音速流れを発生させるノズル、衝撃波の性質、超音速飛行に関する二つの話題、
すなわち音の壁と人類初の超音速飛行の話し、遷音速飛行に関する流れと抵抗の問題、超音速旅客機(コンコルド)の登場と引退などについて解説しました。

 第2部では、筆者が現役時代に室蘭工大で行った大気圏再突入飛行物体まわりの流れ問題と関連する、鈍頭物体まわり超・極超音速流れの研究、
将来のスペースプレーン(宇宙航空機)用空気吸い込み式エンジン内で発生す衝撃波と境界層の干渉現象(擬似衝撃波)の研究、超音速インテーク(空気取り入れ口)の流れの研究などについて述べました。
また、約20年前の1996年(平成8年)、北海道で最初に設置された、室蘭工大における航空宇宙工学に関する教育・研究組織「航空基礎工学講座」の新設について、語りました。

 第3部「最新の研究紹介」では、(1)室蘭工大航空宇宙システム研究センター、(2)室蘭工大航空宇宙システム工学ユニット(学科)推進工学研究室、
および(3)東北大学流体科学研究所次世代流動実験センターで進められている超音速流れと衝撃波現象に関連する最新の研究について紹介しました。

 

2.写真で見る公開講座の様子

 当日の公開講座の様子を、写真を見ながら、振り返ってみます。写真1は、本講座の趣旨説明と講師紹介がなされている時の写真(説明者は臺丸谷先生)です。
写真2写真3
は、超音速旅客機について説明を行っている時の講師と聴講者の皆さんの写真です。写真4写真5は、講演終了後の質疑応答時(司会者は石坂さん)の写真です。
若い学生諸君から、3件ほどの質問がありました。学生諸君の旺盛な探求心と熱心さに気付かされた次第です。
写真6は、本公開講座の企画・立案・広報活動・当日の会場準備等を熱心にされたシニア会員の皆さん(石坂・臺丸谷・岸浪先生)と筆者の会場のスクリーン前で撮った写真です。

 

3.公開講座の参加者とアンケート結果について

 本公開講座に参加された方(受付で名前を記載された方)は、開催前の予想よりも多く、30名でした。
その内訳は、高校教員を含む一般社会人の方3名、若い大学学部生と大学院生の諸君18名、現役の大学教員の方5名、シニア会員4名で、残念ながら高校生諸君の参加はありませんでした。

今後開講する公開講座の参考のために、本公開講座に対し、アンケートを取りました。アンケート回答者数は、出席者30名中、19名(回収率63%)でした。
アンケート結果によると、(1)本公開講座に参加して良かった、(2)講演内容は興味深く満足であった、の回答が非常に多く、本公開講座の関係者と筆者(講演者)は安堵した次第です。

アンケートの自由記載の欄では、もし高校生がいたら、内容が難し過ぎたのではないか、海外経験の話しが聞けてよかった、一般市民の参加がもう少し多かったならよかった、などの意見がありました。

 

4.終わりに

 日本機械学会北海道支部シニア会主催の「科学と技術に関する公開講座」第1回「超音速の世界」は、無事終了しました。今後に続く「公開講座」の一番バッターとしての役割は、
何とか果たせたのではないか、と思っている次第です。

今後に続く公開講座に対し、ご参加・ご支援の程、よろしくお願い致します。

 終わりに、連休初日の土曜日の午後にも拘わらず、本公開講座に参加されました一般市民の方々、多くの若い学生諸君、現役教員の先生方に、心底より感謝する次第です。                                                  
                                                                         (2015.12.15記)